株式会社ビードットメディカル(本社:東京都江戸川区 代表取締役社長:古川卓司 以下ビードットメディカル)が開発した、放射線がん治療装置のための自走式*治療台「シャトル治療台 Throup™ スループ」(以下、Throup™)について、医薬品医療機器等法に基づく医療機器製造販売許認可を取得しましたのでお知らせ致します。
*患者さまの搬送には必ず医療スタッフが付き添い、医療スタッフの操作によって発進し、搬送先で所定の位置に固定します。海外での臨床利用には各国の規制当局による承認・許可が必要です。
■治療室のスループットを向上
陽子線を含む放射線を正しく照射するためには、治療台の上で患者を固定し、事前に取得した治療計画用CT画像と比較し、天板を調整してずれを補正する「位置決め」のプロセスが必要となります。位置決めは、従来、治療室内で行われてきましたが時間がかかり、治療の効率化を阻む要因となっていました。ビードットメディカルは、特に陽子線治療のフローを見直し、位置決めを別室で行うことによって、治療室の効率(スループット)を向上しようと考えました。Throup™️を使って治療室の外で位置決めをした後、患者を載せたまま治療室まで床面に敷設された磁気テープに沿って自走します*。これにより治療室を効率的に活用し、より多くの患者さまに治療を受けていただくことを目指します。
■7軸調整ロボットアームと自走する*シャトル
Throup™は、治療台天板と、それを支え、位置決めを行う治療台可動アーム機器等を備えるロボット治療台部、及びそれらを搬送するシャトル部で構成されています。ロボットの治療台部は、稼働アーム機器の長軸方向への1軸並進可動と、6軸アーム可動を組み合わせることで、合計7軸の調整機能を有しています。シャトル部は自走式*で、通常のストレッチャーと比べて医療スタッフの負担が軽減できます。さらに、シャトル正面と後面にはそれぞれセンサーを設置しており、人などの障害物を検知して回避(もしくは停止)することによって安全を担保します。高齢、全身状態が悪い、小児など特別なケアや準備が必要な患者さまも安全に治療できる機能を備えたシステムです。
■ユーザーセンタードデザイン
Throup™の開発者が第一に考慮したのは乗り心地です。乗り降りの際には天板が患者さまを迎え入れるように下降し、円滑な乗降を可能にします。また、治療台の発進・停止時の加速度を制御し、不安を感じにくいよう調整します。治療台や天板を回転させる際には、患者さまの頭の方向は出来るだけ動かさず、足元から動かして大きな動きを感じにくいように制御します。
さらに、Throup™に乗られる患者さまだけではなく、自走式*の治療台を見るのが初めてという周囲の方々にも安心して使っていただくため、車体の両端にラウンド形状を取り入れ、駆動方向を表現し、直感と実際の動作を一致させようとしています。全体的にも曲線と直線のバランスを考慮することで安心感を創りあげています。
■日本発の技術革新
Throup™のロボット治療台部は産業用ロボットメーカーとして50年以上の歴史を持つ川崎重工業株式会社、シャトル部は無人搬送車(AGV)メーカーの株式会社シコウのご協力をいただき、ビードットメディカルが開発しました。また、開発にあたり、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2021年度研究開発型スタートアップ支援事業/Product Commercialization Alliance (PCA)対象事業として採択されています。
■製品概要
一般的名称: 加速装置用電動式患者台
販売名: シャトル治療台 Throup™ スループ
医療機器製造販売届出番号: 13B1X10334000001