医療機器スタートアップの株式会社ビードットメディカル(本社:東京都江戸川区、代表取締役社長:古川卓司、以下ビードットメディカル)は、開発中の超小型陽子線がん治療装置において、高速スキャニング照射に成功しました。これにより、開発中の装置で高精度なスキャニング照射が可能であることを確認し、副作用が少なく働きながらでもできる陽子線治療の普及実現に近づきました。
■腫瘍だけを的確に治療するスキャニング照射法
陽子線治療では近年、正常組織への照射を抑えられるスキャニング照射法に期待が高まっています。スキャニング照射法とは細いペンシル形状のビームを腫瘍形状に合わせて三次元的に照射する方法であり、先端的治療法である強度変調陽子線治療(IMPT)を実現できるため、腫瘍周囲の正常な組織や臓器へのダメージを低く抑えることが可能となります。加えて高速なスキャニング照射により、呼吸に伴って位置が変動する腫瘍(肺、肝臓など)への治療照射が可能となり、適応が拡大します。
■ビードットメディカルの超小型陽子線がん治療装置、製品化最終段階へ
昨年ビードットメディカルは、陽子線がん治療装置用の小型スキャニング電磁石(※1)の開発に成功し、従来の電磁石に比べて照射機器から照射位置までの距離を従来の約3分の1まで短縮しました。
現在は、2022年5月に原理実証に成功した超小型陽子線がん治療装置(※2)と組み合わせて試験を重ねており、近日中に照射装置の薬機承認申請を行う予定です。誰もが陽子線治療を受けられる社会の実現に向け、引き続き取り組んで参ります。
※1 2021年8月30日付プレスリリース
「陽子線がん治療装置用の小型スキャニング電磁石の開発に成功」
※2 2022年5月16日付プレスリリース
「超小型陽子線がん治療装置の原理実証に成功」