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超小型陽子線がん治療装置の原理実証に成功

 株式会社ビードットメディカル(本社:東京都江戸川区、代表取締役社長:古川卓司、以下ビードットメディカル)と、大阪大学核物理研究センター(所在地:大阪府茨木市、センター長:中野貴志)は、開発中の超小型陽子線がん治療装置の原理実証を実施し、加速器で発生した陽子線が装置内部の超伝導偏向電磁石内で曲がり、アイソセンタ(※1)に照射されたことを確認しました。これにより、開発コンセプトである装置小型化の実現性が証明され、より副作用の少ないがん治療へのアクセス向上に向け、大きく前進しました。

 

原理実証を行った超小型陽子線がん治療装置

 
 今回の原理実証は、大阪大学核物理研究センターが推進する国際共同利用・共同研究拠点の取り組みの一環として実施したもので、核物理研究センター加速器施設においてアップグレードしたAVFサイクロトロンのビームを初めて利用する実験研究としても位置付けられます。原理実証では、加速器から発生した陽子線を自社開発した超伝導偏向電磁石(※2)に通し、偏向電磁石内で任意の角度に曲がることで、陽子線がアイソセンタに照射されることを確認しました。

 陽子線治療は2022年度の診療報酬改定において、大型の肝細胞癌、肝内胆管癌、局所進行膵癌又は大腸癌術後局所再発に係るもの(いずれも切除不能のものに限る)に適用範囲が拡大されました。さらに、内閣府が2021年6月に閣議決定した『経済財政運営と改革の基本方針2021』においては、「陽子線治療を含む粒子線治療装置の小型化・低コスト化の潮流を踏まえ、患者のアクセス向上を図る」と言及されており、陽子線治療に対する社会からの期待は高まってきています。そのニーズに応えるべく、ビードットメディカルはより多くの病院に陽子線治療を導入することで、より多くの患者さまに陽子線治療を届けます。今回、ビードットメディカルと大阪大学核物理研究センター福田光宏 教授らとの共同研究による原理実証で装置の健全性を確認したことで、次は薬機承認申請の準備に進み、2022年度中の薬機取得を目指しています。誰もが陽子線治療を受けられる社会の実現に向け、引き続き取り組んで参ります。

 
※1 機械的な各回転駆動軸の交点。
   転じて、放射線療法において、放射線がもっとも集中して照射される部位を指す。
   (『粒子線治療装置の物理・技術的QAシステムガイドライン』より)

※2 2021年6月25日付プレスリリース
「超伝導技術を用いた小型陽子線用偏向電磁石の開発に成功」

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